読書と言語とQubit

物理系大学院生の趣味日記です。読書記録、学んでいる言語について、研究の話など、雑多にゆるゆると書き留めていきます。

海外大学院入試の基礎知識:SoPとは?

こんにちは!Kohdaiです!

先日海外大学院入試の基礎知識として「GRE」という試験の紹介をしました!

 

 

kblack18.hatenablog.com

 


 
今回はより合否を左右する重要な要素、「Statement of Purpose」のお話をしたいと思います!


海外大学院を目指していると、「海外の大学では試験の結果とかじゃなくてエッセイが重視されるんだよ」という話を聞くことがあるかと思います。これはその通りで、日本と海外(特に北米)の大学院入試には次のような文化の違いがあります。

  • 日本:学生の学力を筆記試験で評価。研究に必要なコミュニケーション能力等を面接で評価する。
  • 北米:学生の学力を学部時代の成績で評価。コミュニケーション能力、研究遂行能力などを学生のエッセイや、推薦状から判断する。

海外大学院入試でエッセイや推薦状が評価に使われる理由を、私の知り合いの先生は次のように分析していました。

「一緒に研究するという観点で学生がどれくらい有能かっていうのは、一回や二回喋っただけじゃ実はあんまりわかんないんだよね。だから、学力は学部の成績を参照するとして、推薦状からは教員から見た率直で客観的な能力を見て、学生のエッセイからはwritingの能力とその子のビジョンを見るんだ。

このように、海外大学院入試では「十分な成績が取れていることは前提として」、エッセイや推薦状が非常に重視されます。

「Statement of Purpose」とは「エッセイ」に該当するもののこと。日本語だと「志望理由書」でしょうか。しばしば略されて「SoP」と呼ばれます。

日本の大学院に出願する際も400字程度の志望理由を求められることがありますが、「SoP」はより長い文章を書くことになります。以下では、「SoP」を私が書いた際の戦略や準備についてお話ししていきます!

 

「SoP」の分量

おそらくまず気になるのが、「どれくらいの分量を書けば良いのか?」ということだと思います。これは専攻にもよるかと思いますが、私は800 words程度書きました。あまり短すぎると自分の言いたいことやアピールポイントが入らないし、あまり長いと応募先の教授に興味を持って読んでもらえない可能性がある、というのを考慮してバランスを取った結果です。

 

「SoP」の内容

さて、一番の問題は「果たして何を書けば良いのか?」でしょう。一概に志望先の教授に読んでもらうエッセイを書けと言われても、何を書くべきなのかは非常に悩むと思います。
ざっくり言えば、「SoP」は「自分の大きな目標とアピールポイント」を語るエッセイです。教授に向かって、「自分にはこんな夢があって、自分はその夢を追うのに十分有能で、あなたの下であなたと一緒にその夢を実現させたい」ということを訴えかける文章です。教授はこの文章を読んであなたがどのような人物かを判断するのですが、人気な教授のもとには多くの応募が集まるため、魅力的な文章を書かなければ教授の目に留まる事はできません。

私のSoPの構成はこんな感じでした。

  1. 自分の夢を語る
    『高校生の頃からこの世の自然法則を記述する物理学に魅せられ、研究者になることを志して大学に進学した。現在は未来の新技術である量子コンピューターに関わる理論研究の道に進みたい』
    みたいな内容を第一段落で書いたと思います。なるべく壮大な夢を語っているような口調で書きました。
  2. その夢に向かって大学学部時代にどのような努力をしてきたか語る
    『海外研修や海外インターンに行って、研究の場面で通用する英語力を身につけた。教授に積極的に声をかけて、自分から能動的に研究に取り組み、こんな成果を出した』
    という内容を数段落使って書きました。なるべく自分の経験を面白そうに書く努力をしました。読んでいる教授に飽きられてしまったら困るので…。
  3. 大学院に入ってからの目標を語る
    『〇〇大学では量子情報の研究に力を入れているため、そちらの大学院で〇〇のような研究を行って、分野に貢献したい』
    という内容を一段落ほど使って書きました。ここでは各大学の特色に合わせて、自分の今やりたいことのアピールをします。2でアピールしたスキルとうまく結びつけられればなお良いでしょう。
  4. まとめ+志望先の教官へのアピール
    最後に簡単に内容をまとめます。ここで、志望先の教授の研究内容などと絡めて「あなたと研究がしたいです!」という気持ちのアピールができるとなお良いです。

「SoP」の準備

さて、どのように準備を行うかですが、私は大体2ヶ月ほどの期間を取りました。タイムテーブルは以下の通りです。

  • (1週間程度)
    まず書く。とにかく一回最後まで書き切ってみる。この段階では文章が上手くかけていなくても良いので、とにかく何かしら文章らしきものが完成しているということが大事。
  • (1週間)
    インターネットで同義語やコロケーションなどを調べながら、なるべく正しく魅力的な英語に近づけていく。全体の構成についてもここで整える。
  • (残りの1ヶ月半)
    なるべく多くの信頼できる人(指導教官、研究室の先輩、英語の先生、ネイティブの友人など)に添削をお願いする。「英語ができる人」=「英語の文章が上手い人」ではないので要注意。また、添削は相手の貴重な時間を奪う行為なのでお願いは呉々も丁寧に!

私はあまり多くの方に添削をお願いできず、少々準備不足となってしまって後悔しています。
大学院入試は自分の人生を賭けた戦いです。SoPは自分のこれまでの人生を詰め込んで指導教官にアピールする非常に重要なエッセイなので、是非全力で準備してみてください!!

それではまた!