読書と言語とQubit

物理系大学院生の趣味日記です。読書記録、学んでいる言語について、研究の話など、雑多にゆるゆると書き留めていきます。

留学挑戦記④:出願の長い道のり Part2

こんにちは!Kohdaiです!

前回から、海外大学院の出願体験の話をしていました。ここで大学院出願のプロセスを思い出すとこのような感じです。

  1. 出願校、志望指導教員のリスト作成
  2. テスト受験(GRE)
  3. 推薦状依頼
  4. Statement of Purpose 作成
  5. 出願

前回は志望研究室のリスト作成の話をしましたが、今回は2、3、4番の話をしていこうと思います。特にここのプロセスは日本の大学院出願との違いが顕著に現れる部分なので、準備が非常に大変かつ重要になります。

 

さて、私がどのような経緯をたどったかお話しする前に、まずは日本の大学院入試と海外の大学院入試の違いを見ていきましょう。

日本の大学院試のプロセスは以下のようになることが多いようです。

  1. 出願書類を大学から取り寄せる。
  2. 出願書類(履歴書、簡単な志望動機)を提出し、受験料を振り込む。
  3. 指定日に試験を受ける。

一方私が第一志望にしていたWaterloo大学の出願は次の通りです。

  1. 出願用のWebページに登録する。
  2. 指定のページで経歴を記入する。
  3. 外部試験(GREと英語の試験)の成績を送る。
  4. 志望動機(Statement of Purpose)を提出する。
  5. 推薦状を書いてくれる先生の連絡先を登録する。
  6. 受験料を振り込み、出願完了。推薦者が推薦状を送ってくれるのを待つ。

 

赤字で強調した通り、日本か海外かで出願プロセスが大きく異なることが分かります。日本の大学院入試の場合、選考プロセスはほとんど「独自のペーパーテスト+面接」となります。つまり、複数の大学院を志望する場合、それぞれの大学の傾向を踏まえてテストの対策をし、指定日にペーパーテストを受けに行かなくてはならない、ということです。これでは複数の大学院を併願するのは難しく、学部で所属していた大学に出願する学生もかなり多い印象です。

 

一方、Waterloo大学の例で示した海外の大学の出願プロセスを見てみましょう。

そもそも海外の大学院はほとんどの場合独自のテストを用意していません。例えば北米の場合、最低限の学力の担保として使われるのはGraduate Record Examinations (GRE)という共通の試験です。そして、このGREの成績は参考にする程度でほとんど見られていないと言われています。

それでは何を使って学生を評価するのでしょう。

それは「Statement of Purpose」と「推薦状」です。

「Statement of Purpose」というのは、自己アピール、志望理由をまとめたエッセイのことで、一般には「SoP」などと略されて呼ばれます。ここには

  • なぜその分野の研究がしたいのか
  • その研究をするために自分は今までどのようなことをしてきたのか
  • そして自分にはどのような能力があるのか
  • 最終的に自分は何を達成したいのか

を800-1000語ほどで詰め込みます。詳しくは後述しますが、このStatement of Purposeで教授に興味を持ってもらえるか、というのは合否に関わる重要な要素の一つです。

一方、「推薦状」というのは、学部時代の指導教官や共同研究者などに書いてもらう、自分を評価する文章のことです。SoPで書くのが主観的な自分の評価なのだとすれば、推薦状に書かれるのは「他者から見た客観的な評価」です。そのため、大学院入試の場に於いても推薦状が一番重視されると言われています。推薦状で重視されることはただ一つ、「どれだけ定量的に評価されているか」、これだけです。言い換えれば、自分の実力が最もシビアに出る場であるともいえるでしょう。

 

さて、出願にあたって僕が通った道のりを見ていきましょう。

まずはGREについてです。このテストの細かい内容については別記事で解説する予定ですが、大まかに分けてGREには英語と数理の基礎能力を測るGeneralというテストと、専門的な基礎知識を測るSubjectというテストがあります。

Generalのテストについては、私は8月頃に受験しました。実は東京だとGRE Generalはテストセンターなどでほぼ毎日受験できます。値段は180米ドルと高いので、私は一発勝負で全力を注ぎました。
Subjectについては11月に受験。実はSubjectテストは開催回数が年三回ほどと相当少なく、日本で受ける場合は日本で受ける場合は東京、福岡、沖縄と非常に限られた場所でしか開催されないので、アンテナを張っていないと受験を逃してしまいます。私はプリンストンへの留学と時期がかぶっていたので現地プリンストンでの受験となりました。

GREテストは基本的に参考程度に見られるのみであり、評価に大きな影響を及ぼさないとは言われていますが、やはり対策しないと十分な点数は取れません。私はGeneralについてもSubjectについても問題集を購入して、1か月ほどは問題集をやりこんで対策していました。

 

さて、続いては「SoP」ですが、こちらは基本的に10月頃に準備をしていました。準備の流れとしては、

  • 書き方をググる
  • とりあえず書いてみる
  • 添削をもらって直す

の繰り返しです。今はインターネットが便利な時代。検索すれば多くのPh.D. studentsたちがSoPのアドバイスを発信してくれています。また、私のWritingの際の信条は「まずとにかく書いてみる」こと。そこで、ダメダメなエッセイでもよいからとりあえず自分なりに書いてみるところから始めました。ただ、論理構成の流れ

「自分には成し遂げたい夢があって」
→「そのために自分はこんな実力をこんな方法で蓄えてきて」
→「大学院ではこんなことを成し遂げたいという明確な目標があって」
→「その実現のために是非先生の研究室で研究したい」

だけは意識するようにしていました。

添削はエッセイが得意な友人と奨学金団体の先生にお願いしました。今思えば、海外留学中の先輩や、ネイティブの友人にも頼むべきだったと反省しています。

 

「推薦状」について。これは誰にお願いするかが非常に大事です!
私が受けたアドバイスは「なるべく自分のことをよく知っていて、定量的に実績を判断してくれる人が良い」というもの。

私は以下の先生方にお願いしました。

  1. 学部時代の指導教官
  2. シンガポールで研究インターンをした際の上司
  3. プリンストンでの受け入れ先研究室の教授

いずれの方も私の研究能力や勉強姿勢などを十分な時間見て下さったという判断のもとにお願いさせていただきました。依頼のメールは10月末に差し出したと思います。一般的に出願は12月から1月になるので、突然すぎる連絡になってしまわないように留意しました。(推薦書では先生方の手を煩わせることになります。失礼のないようにするのが一番です!)

 

流れをまとめると、

  1. GRE受験(~8月、11月)
  2. SoP執筆(10月~12月)
  3. 推薦書依頼(~10月末)

といったところでしょうか。

ここまで整えばあとは出願するのみです! 次回では私の出願結果、それを受けての自己反省や最終的にウォータールー大学を選んだ理由を書いていきます!

それでは!